活版印刷で綴る季節の俳句「初夏」
2020年5月1日から6月4日までtwitter毎日製作を発表した #活字組版で季節の俳句 を1箱にまとめました。春に続いて初夏の句となります。
活版印刷とデザインの工房であり、作家であり、企画や出版部もする私たちでしか作れない、そしてこの情勢でなにかできないかと生まれた一冊です。
全て活字組版による活版印刷で、
初夏の句35枚、と表紙となるカード合計36枚のカードセットです。
活版印刷ならではの文字、色の美しさ、印影、
そして俳句の美しさと文字の楽しさをお届けします。
収録俳句
山里に花咲く八十八夜かな 子規
長持に春ぞ暮れ行く更衣 西鶴
木隠れて茶摘みも聞くやほととぎす 芭蕉
目には青葉 山ほととぎす初鰹 素堂
薬園のゆかしき五月五日哉 蕪村
夏立つや忍に水をやりしより 虚子
傾城の朝風呂匂ふ菖蒲かな 太祇
花いばら故郷の路に似たるかな 蕪村
杜若語るも旅のひとつ哉 芭蕉
新茶の香真昼の眠気転じたり 一茶
ごうごうと皐月の海の鳴り渡る 子規
花びらに風薫りては散らんとす 漱石
それぞれに名乗て出る若葉哉 千代女
舞殿や薫風昼の楽起る 碧梧桐
風薫る羽織は襟もつくろはず 芭蕉
行く春や鳥啼き魚の目は泪 芭蕉
うすうすと窓に日のさす五月かな 子規
露さへも旅はおもきに皐月雨 梅室
生て居るばかりぞ我とけしの花 一茶
月斜め筍竹にならんとす 漱石
満目の緑に坐る主かな 虚子
門川に流れ藻絶えぬ五月かな 碧梧桐
ひなげしや夜ごと夜ごとの明けやすき 龍之介
渓流に薔薇垣垂るる水車かな 茅舎
薄色の牡丹久しく保ちけり 子規
目にかかる時やことさら五月富士 芭蕉
見るうちに薔薇たわたわと散り積る 虚子
くたくたと散つてしまひぬ薔薇の花 鬼城
しづ心牡丹崩れてしまひけり 子規
傘さして後向くなり杜若 漱石
五月雨を集めてはやし最上川 芭蕉
青梅に手をかけて寝る蛙哉 一茶
夕晴の雲や黄色に瓜の花 支考
薄月夜花くちなしの匂いけり 子規
牡丹散って打ち重なりぬ二三片 蕪村